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【 子育てと親の勉強 】 親子の信頼関係をどう育てるか > 子どものキャンプ

子どものキャンプ

五感を使って自然を味わう -2

子どものキャンプ 五感を使って自然を味わう -2

自然の営みと人の関わりを知る
 「さあ、次のポイントを目指して歩こう。
歩く順番を交代しようか」
子どもたちは、また列を作って次のポイントへと歩き始める。
キャンプカウンセラーは最後尾を歩きながら、
グループの子どもたち全員を見守る。


 「ちょっと先頭を変わろう。ボクが先頭を行こう」
キャンプカウンセラーが、1メートルくらいの木の枝を
拾ってきて話しかける。
「どうして?」
「この辺からは、マムシの多い場所になるんだ。
草むらと道路との境目の所によくマムシが出てきている。
草むらに潜んで、道路側へ頭だけを出している」
「コースの中央と両側は、しっかりと草刈りができているだろう。
山の管理のおじいさんが、草刈り機を担いでここまで山を登って来て、
草を刈ってくれているんだよ。
みんなが安全にコースを歩けるようにと、頑張ってくれているんだ」


「草むらへ踏み込まないように、と出発前に注意を聞いたね。
いきなり草むらへ踏み込んで、マムシのしっぽを踏んだりしたら、
確実に噛まれるだろう」
「コースの真ん中を歩いている限りは、安全だ。
だけど念のためにボクが先頭を歩く。
この木の枝で草むらと道路の境目をはたいて音を出しながら歩く。
マムシは臆病だから、音を聞けば、山の中へ逃げ込むだろう」
「さあ行こうか。道路の真ん中を歩くんだよ」


 このようにして子どもたちは、敷地内に共存する小動物の一つ、
マムシについての知識を身につける。自然の営みについて、
人と自然とな関わり方についての知恵を学ぶ。


実践を通して学ぶ
 自分の安全は自分の責任で守るための具体的な方法について、
実践を通して学ぶのである。自然と子どもたちとの橋渡し役を、
キャンプカウンセラーがこのようにして果たしている。


 子どもたちは、ただハイキングコースを歩いてきたというのではない。
与えられた課題を解いてきただけではない。
コースを歩く途中で山の自然について、新しい知識や経験を身につけた。
自分の責任で安全を確保する具体的な方法について考え、
身につけることができた。


他者との関わり方を身につける
 仲間と声をかけ合い、励まし合い支え合いながら、
共に汗を流して山道を歩く。
自分一人なら、きっとこの山道を歩くことはできないだろうという思いを
みんなが抱く。自分と他者との関係について考える機会でもある。
具体的な場面での経験を通じて、他者との関わり方を身につけるのである。
他者への心遣いや思いやりの気持ちを、ごく自然に身につけることができる。


 同じコースを全員が歩き、無事に帰ってきた。
各グループで彼らがした経験は違うかもしれない。
しかし、「グリーン・アドベンチャー」というプログラムの経験を共有したのである。


 やった、という達成感や充実感をお互いに分かち合っている。
子どもたち全員の目がキラキラと輝き、生き生きとした表情が、
彼らの喜びを表現している。彼らの経験の大きさを物語っているようだ。


 プログラムは媒体、手段である、目的ではない。
指導するのは活動のハウツーではない、人間を、
そしてグループを指導するのだ、とも述べてきた。


結果より、プロセスを重視する意味についても述べてきた。
それらの違いを、少しでもおわかりいただけただろうか。


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子どものキャンプ

五感を使って自然を味わう -1

子どものキャンプ 五感を使って自然を味わう -1

グリーン・アドベンチャー
 112万ヘーベ、約32万坪の敷地内に、
ハイキングコースがいくつもある。それぞれに特徴のあるコースである。
午前中は、その内の一つのコースを使った、
「グリーン・アドベンチャー」のプログラムである。


 コース上に、いくつかのチェックポイントが設定されている。
各チェックポイントでは、課題が出される。
スタート時点で、コースの案内図と課題集を渡される。
今日は各グループごとに、時間差をおいて出発する。
早さを競う競争ではない。
グループの仲間が力を合わせて、無事にコースを回ってくる。
その間に、示された課題の回答を考え出すのである。


五感を使って、自然を味わう
 課題はすべて、敷地内の山の自然や動植物に関するものである。
「五感を使って自然を味わおう」と、施設側から利用者に提案をしている。
主催するキャンプでも、五感を使って自然を味わう活動を
いくつも準備している。
その一つが「グルーン・アドベンチャー」と呼ばれるプログラムである。


 目的は、五感をフルに使って、自然を味わうプロセスを通じて、
子どもたちの心に、自然を愛する心を育もうとするものである。
この活動を通して、子どもたちと自然の橋渡しをしようというわけである。


 黒松、赤松、馬酔木、藤、黒文字、杉、檜、山ならし、
猪、など敷地内に生息する動植物に関する課題が出される。
視覚や聴覚、触覚などを使って、よく観察して回答を考える。
グループで相談しながら、一つずつ課題を克服していく。


助け合い、励まし合い、支え合いながら
 山登りの得意な子どもがいる。
登り坂はどうも苦手という子どももいる。誰が先頭を歩くのか。
誰が最後尾を歩くのか。どのくらいのペースで歩くのか。
それぞれにグループ内で相談して、自分たちで決める。
お互いに声をかけ合いながら、1列になって山道を歩く。


 どのくらいの時間歩いたら、休憩を取るのか。
休憩するのに適当な、景色を楽しめる場所があるか。
誰か息苦しくなっている仲間はいないか。
お互いに歩きながら、仲間を気遣い、声をかける。
刻々と変わりゆく山の景色を楽しみながら、風の音、
鳥の鳴き声などを体で感じながら、次のポイントを目指す。


 谷間へ降りる急な坂道では、木に掴まりながら体のバランスを取る。
厳しい上り坂では、仲間同士がお互いに手を差しのべて
引っ張り上げたり、お尻を押したりして助け合う。


山に響く子どもたちの歌声
 展望のいい場所を見つけて、休憩しているグループが見られる。
キャンプカウンセラーから、遠くの山々や、
山の下に見える景色についての説明を聞いている。
誰が歌い出すともなく、楽しそうな歌声が山に響き始める。


 それにつられるように、姿は見えないが前を歩いている
グループの子どもたちも歌い始めたようである。
後ろを歩いているグループの歌声も聞こえる。
子どもたちにとって、歌が生活の中にしっかりと入り込んでいるようだ。
グループの仲間と一緒に、何かをすることに喜びを感じているのだろう。
その何かの一つが歌である。


 休憩時間に腰を下ろし、景色を楽しみながら、
キャンプカウンセラーは子どもたちに、
山の自然へ目を向けるような働きかけをしているようだ。
この山に住む野生動物、タヌキ、キツネ、テン、鹿、ウサギ、
イノシシ、イタチ、リス、マムシ、キツツキ、キジ、カワウ、
カイツブリなどの話をしている。
子どもたちは目を輝かせながら、次々にいろんな質問が浴びせかける。


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子どものキャンプ

基本的な生活技術の習得 -2

子どものキャンプ 基本的な生活技術の習得 -2


生活のための作業も、キャンプのプログラム

 キャンプ生活に使用する寝具の整理整頓も、子どもたちは自分で行う。
青年の家などで畳の上に寝るのなら、布団を敷いたり畳んだりの作業になる。
コテージやテントなどを利用するキャンプでは、
毛布やシェラフ(寝袋)の整理をする。
シェラフ用のシーツの扱いを、キャンプカウンセラーに教わって覚える。


 小さな子どもにとっては、大きな布団や毛布を一人で畳むのは、骨の折れる作業である。
グループの仲間と二人づつチームを組んで作業を進める。
部屋やコテージ、テントなどの清掃は、それぞれが役割を分担して実施する。


 子どもたちがお互いにどのように力を合わせて、
寝具の整理や部屋の清掃を進めるかを見守り、
彼らを側面から助けるのが、キャンプカウンセラーの仕事である。
Tシャツや靴下などの洗濯も、子どもたちは自分でする。


 子どもたちにとっては、自分の面倒を自分で見るという、
日常の生活ではあまり経験したことのない作業である。
しかし、グループの仲間と一緒に整理をする、清掃をするという
同じ経験をお互いに分かち合うことに、次第に喜びを感じるようになる。
子どもたちは、仲間と力を合わせることによって、
楽しみながらこれらの作業を進める。


楽しみの内容と意味

 「楽しんでいるかい?」と子どもに聞いてみよう。
「はい。楽しんでいます」「楽しいですよ」
このような答えが返ってくるだろう。


 子どもたちが楽しく感じていることがわかる。
彼らが楽しいと感じているのは、キャンプで実施される
プログラム活動の数々であることもも、その一つである。


 しかし、ここで見逃してはならないことがある。
上に述べたように、自分で自分の面倒を見る。
これは彼らにとって初めての経験かもしれない。
初めてやってみてできた。


 自分ではできないと思いこんでいた、
または「小さい子どもにはまだ無理だ」と親の一方的な判断で、
やらせてもらえなかったこともあるだろう。

家庭では親がやってくれて当たり前だと考えていたことが、
自分の力でできた。やればできるという経験を通して、
自分に自信を持つことができた。子どもにとって、
これほど大きな喜びはないだろう。


 グループの仲間と力を合わせて、部屋の整理、清掃や食事の準備、
後かたづけなど何事もやり遂げる。
グループの仲間との経験を分かち合う。
これも子どもたちにとっては、大きな喜びであり、楽しさの一つである。


 一緒に生活する仲間と力を合わせて、物事を成し遂げるには、
お互いに相手の気持ちをわかろうとする気持ちがなければならない。
相手に対する気遣いや思いやりの気持ちを、
子どもたちは知らず知らずのうちに身につけることができるのである。
それと同時に、相手との接し方も身につけることができる。


 自分を仲間に理解してもらう。
自分も仲間についての理解を深める。
グループメンバーの間に、同じ仲間だという意識が育つ。
自分も仲間の一人として受け入れてもらう。
子どもたちにとっては大きな喜びを感じる一瞬である。


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子どもたちのキャンプを訪問する -2

子どもたちのキャンプを訪問する -2

 全体に向かって、大きな声を張り上げる者は誰もいない。
通りがかりのキャンプカウンセラーに、キャンプディレクターから声がかかる。
「子どもたちの水筒が空になるころだろう?食事がすんだら、
大急ぎでお茶を準備するからね。もう少し待ってよ」

「他のグループのキャンプカウンセラーにも、伝えてきてくれるかい」
マネージメントディレクターの指示で、マネジメントスタッフが各グループ担当のキャンプカウンセラーのことろへ出かける。


「体の調子が悪い子どもはいないようです。みんな元気です」
マネジメントスタッフは、マネージメントディレクターからのメッセージを伝えるだけではなく、
キャンパーの健康状態について、各グループのカウンセラーから情報を得ると共に、
自分の目でも子どもたちを観察し、健康状態を確かめて帰ってくる。


「コンビニのお弁当を、買って持ってきている子どもがいますよ」
「ソフトボールくらいの大きなおにぎりを、両手でもってほおばっている子がいたな」
「お母さんの手作りのお弁当がいいね。やっぱり」
「子どもたちの、水筒のお茶がなくなるころだろう。大急ぎでお茶を作ろう」
子どもたちの様子を見ながら、マネジメントスタッフがお弁当を広げている。


スタッフOBも応援に
 「事務所から現地へ荷物の運搬を頼まれました。
キャンプのスタートに合わせて車で応援に行きます」
今は社会人になっているスタッフOBのY君と、メールでのやりとりをして、
私はキャンプ初日に訪問することにしたのである。


 このキャンプ期間中に、他にも社会人になっている数名のスタッフOBが休暇を取って、
または週末を利用して子どもたちのキャンプを訪問するらしい。夏期休暇を利用して、
スタッフとして子どもたちのキャンプを担当するOBやOGもいるようだ。協会に取っては、
彼らも貴重な戦力である。


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子どものキャンプ

子どもたちのキャンプを訪問する -1

子どもたちのキャンプを訪問する -1

廃校を利用してのキャンプ
 車で国道175号線を福知山へと走る。
市街地を通り抜け175号線から176号線へと左折すると、
丹後半島へ向かう山道の登りである。
山に囲まれた小さな集落の中心に、小学校の廃校がある。


 3階建ての鉄筋のビル、各教室には子ども用の机や椅子が、
そして掲示物までがそのまま残っている。別棟で保健室と給食のための厨房、グランド、
倉庫などがあり、現在も地元の子どもたちに使われているプールとシャワーがある。


 この廃校を利用して、大阪の子どもたちのキャンプを始めて何年になるだろうか。
6年前に私は初めてこの地を訪れた。
キャンプディレクターとしてこのキャンプを担当する職員M君から、
「遊びに来ませんか」と声がかかったからである。
M君は昨年も今年もこのキャンプの責任者、キャンプディレクターとして、
子どもたちを引率してくる。


 実はM君は私の元の部下である。
キャンプやスキースクール、青少年指導者の育成など、
青少年育成を専門の仕事とする協会の事業や、野外活動センターの管理、
運営を共に進めてきた仲間の一人である。


子どもたちを迎える
 子どもたちが大阪からバスで到着する時間に合わせて、今年も子どもたちのキャンプを訪問した。
町役場の女子職員が事前にやってくる。鍵を開けて建物に風を通す。
地元行政と住民の理解と協力が、子どもたちのキャンプ実施には欠かせない課題である。


 しばらくすると、バスが到着する。リュックを背に約10分の道のりを、
グループごとに子どもたちが歩いて来る。キャンプカウンセラーを先頭に、
子どもたちの列が続く。


 一休みした子どもたちは、風通しのいい木陰を見つけ、グループごとにお弁当を開く。
スタッフや子どもたちの胸には、キャンプネームを書いた名札が見える。


グループ単位に、プログラムが進む
 キャンプのはじめの集いもなしでプログラムが進行する。
大阪からのバスの中で、プログラムスタッフからオリエンテーションがあったのだろう。
グループを担当するキャンプカウンセラーに任せておけば大丈夫だといったところだろうか。


今、自分は何に注意し、何をどうすればいいかを、
キャンプカウンセラーがしっかりと心得ている様子がうかがえる。


プロフィール

Author:kenm77
40年にわたって、私 松田 虔(けん)は、人間教育の経験、指導理念の確立、社会教育現場での専門的な指導経験、 多岐にわたる指導者育成の経験を積み重ねてきました。

子どものキャンプの専門家として、40年間指導と企画運営に携わってきました。

そして、青少年育成の半分は親と指導者の育成であると認識し、指導者の育成にはことのほか力を注いできました。


家庭教育の場に置き換えれば、子どもにとっては指導者である
親のあり方、姿勢、心構え」が、
そして「親の生き方」が、
子どもがどのような人間に育つかの鍵を握っていると言えます。

親としての勉強を始めませんか?




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